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 田辺聖子の小説に、架空の「あじさいホテル」が出てきます。神戸という設定です。

「私はそういう、ホテルの夜の物音 ― 車の音や遠く、どこかでひそかに交わされる人の話し声や庭の水銀燈に照らされたおぼろなあじさいの花、桐生の煙草くさいキス、そんなものが嫌いではなかった。それは私の大好きな、身に沁むような情趣で、冷たく心地よく湿った夜気とともに、私を恍惚とさせる。要するに、私は、幸福だったのだ」 ― 田辺聖子『窓を開けますか?』(昭和47年)

 Il y a Hôtel Hortensia dans un roman de TANABE Seiko:Je Peux Ouvrir la Fenêtre?
“ Des bruits de l' hôtel de la nuit ― des voitures, des conversations secrètes, des hortensias vagues illuminés par des lampes vapeur de mercure dans le jardin, des baisers de Kiryu qui sentent la cigarette…” (tr. par snowdrop)




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(友人宅で*chez mon amie)


この小説は章立ても華やかです。
 「バラ色の人生」「バラの肌着」「バラの寝床」「バラ色の月」「バラの海」
バラの季節と隣り合うアジサイの季節、
ヒロイン岸森亜希子と恋人桐生はいちばん幸せな時間を過ごします。

Ce roman se compose de cinq chapitres:
La Vie en Rose, La Lune Rose, La mer de Roses, etc.



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昭和の文庫本(上)と平成の文庫本(下)(amazon)をくらべてみると…


「窓を開けますか」の画像検索結果


恋やホテルに終りがあるように、人生にも終りがあります。
六月六日、田辺聖子さんが亡くなりました。
あじさいが美しく色づき始める季節に…
お聖さんのお命日は「紫陽花忌」と呼ばれるようになるのかもしれません。

Comme l' amour ou l' hôtel ne perdure pas,
la vie se terminera un jour.
TANABE Seiko est décédée le 6 juin,
au début de la saison de l' hortensia.



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薔薇の香を追ひて貴女が旅立ちし六月六日を紫陽花忌とせん


elle est partie

dans le parfum

de la rose et

l' hortensia me rappellera

ce roman et o-sei-san




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お聖さん好みの紫陽花、薔薇のアクセサリー(母の友人の手作り)


(All Rights Reserved)



umiさんの「ゆるっと紫陽fes」に参加中です。。。









by snowdrop-uta | 2019-06-21 06:36 | 本棚から(book) | Comments(6)

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ノートル・ダムが燃えた日、君たちを訪ねたけれど、庭には誰もいなかった。
あれから10日余り、連休に入って、久しぶりに庭を覗いたら…なんてことだろう!
私の大切なひとがケガをしていたなんて!
どうぞ今度も不死身の回復を遂げますように!
私が君のために、君たちのために、一昨年ぶじ帰って来たように…

Au jour de l' incendie de Notre Dame,
j' ai visité votre jardin mais il n'y avait personne.
Et aujourd'hui…le jardin est ouvert, mais quelle nouvelle!
Mon cheri a été blessé !! Un cauchemar ?!
Bonne convalescence comme la mienne,
comme je suis retournée pour vous, pour toi il y a deux ans.



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連作「早苗月の蛇」より十首 * Dix tanka de Vipère au Ⅿois de Mai


いま私は、入院中に詠んだ歌をバイリンガル短歌として連載している。
ブログで紹介することはない と思っていたけれど…
私のように回復してくれますように、祈りをこめて。
(回復期の五首は未発表なので、まだ公開できません)


Voici mes tanka pendant hospitalization en 2017. (inachevé)
Bonne convalescence, toi, un parachutiste invulnérable !


「le grand jeu film francais」の画像検索結果

Je n' ai pas encore vu ce film …


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IT Nr.5 est arrivé hier soir.



君たちの見守りをりし梅(むめ)の木は五年(いつとせ)をへて実をむすびたり

un prunier
que vous cultivaient
a commencé à
porter ses fruits
après cinq ans




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冒頭の写真の後景にピントを合わせました * la même composition avec la première

(All Rights Reserved)






by snowdrop-uta | 2019-04-29 16:20 | 本棚から(book)

昨秋、若山牧水の短歌を英語とフランス語でご紹介しました(記事末尾)。あれからドイツ語もネットで探してみました。 (記事でも引用)


Wakayama Bokusui' s tanka is translated not only into French and English but into German. →  (to be mentioned later in this article)



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フランス語と英語では単数形の白鳥(しらとり)が ↑
ドイツ語では複数形の白鳥(はくちょう)です! ↓

Weiße Schwäne
seid ihr nicht traurig
so zu schweben
ungefärbt vom Blau des Himmels
vom Blau des Meeres

―Wakayama Bokusui
IN DER FERNE DER FUJI
WOLKENLOS HEITER
Moderne Tanka
Ausgewählt, übersetzt und mit einem Nachwort von
Eduard Klopfenstein ©
MANESSE VERLAG 



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フランス語/英語訳の歌集(左)に続いて、今年はドイツ語訳の歌集を入手しました(右)。
北斎の花鳥画による装丁が粋ですね!表題は「たえて桜のなかりせば」在原業平の和歌の一節です。
平安のドン・ジョヴァンニ、業平さま…次はイタリア語訳の歌集を探してみましょうか。

Snowdrop has got a waka-tanka anhology in German this year (right).
Do you find Hokusai's bird and flowers in the cover design ?
The red characters are the first part of Ariwara no Narihira's waka 🌸


「業平」の画像検索結果
(google search)
🌸 (tr. by snowdrop)
 if there were
no cherry blossoms

in this world,
my heart in spring
would be calmer


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二冊の本で共通して採られている短歌を見つけました。「馬追虫の…」長塚節の味わい深い一首です。
「うまおい」ってどんな虫?秋に鳴く「スイッチョ」です。
英語だと katydid(ケイティディッドゥ)、お馬に乗った紳士のようですね!
フランス語なら sauterelle(ソトレル)、こちらも軽やかです。
ドイツ語は Grashüpfer(グラスヒュプファー)、草の匂いが感じられます。
ちなみに、英語の grasshopper(グラスホッパー)はバッタです。

One tanka on a katydid by Nagatsuka Takeshi is on both these books.
The word "katydid" or "sauterelle" sounds lighter than Japanese "uma-oi"(SUITCHO).

Please listen to SUI…TCHO♪





けれども、この独特の声は歌のなかに出てきません。この歌のポイントは
「髭そよろに」
ふつうの日本語では「髭そよろ」となるところですが
「に」という助詞は「場所」を表すので、歌が理屈っぽくってしまいます。
また、重みのある「に」を繰り返すと、そのつど息継ぎしたくなり、
一陣の風のような秋の軽やかさが伝わらなくなってしまいます。
「うまおいのひげのそよろに来る秋は」と一息に読みましょう。
馬追虫の髭のように長い一節ですが!なんて繊細なお髭!

The above typical sounds, however, do not appear in this tanka.
The coming autumn is depicted delicately by the feelers moving with a breeze.
Its length is implied by the expression "umaoi no hige no soyoro ni"
when being read without taking a breath.
(A postpositional particle "no" connects smoothly these words.)


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馬追虫の髭のように長い蔓草(2016年)*looong creeper like a katydid's feeler



「思ひみる」とは…
meditate(英)、contempler(仏)、bedenken(独)
いずれも「見る」というより「しみじみ思う」という意味です。
meditation(メディテーション、瞑想)という言葉は日本でもおなじみになってきましたね。
contemplerという仏語には、英語にもある「temple」(寺院)という単語が含まれています。
いずれもラテン語のcontemplari に由来するのです。
bedenken は denken(考える)に be-(十分に)という接頭語が付いて
「熟慮する」という意味になりました。いかにもドイツ人気質な単語です!

Omoi-miru (jp) = meditate(eg); contempler(fr); bedenken(de)
These foreign words share a sort of spiritual nuance.
For example, "contempler" includes "temple" (<contemplari, la),
and German prefix "be" means "well".



「漱石」の画像検索結果「proust」の画像検索結果「thomas mann」の画像検索結果



この時代の文化人の決めポーズは、皆この瞑想スタイルですね! (google search)

左から夏目漱石(英国留学した日本人)、マルセル・プルースト(仏)、トーマス・マン(独)

Soseki, Proust, Mann…all of them are meditating in photos ! And Bokusui also…?↓


「若山牧水」の画像検索結果




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by snowdrop-uta | 2019-01-25 05:50 | 本棚から(book) | Comments(6)

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大山崎山荘美術館



「谷崎潤一郎文学の着物」はアンティーク着物だけではありません。
小説の挿絵をもとに再現された着物もあります。
『細雪』のために小倉遊亀が描いた着物はもみじの絵柄。
帯には さみどりの蝶々が飛んでいます。

This exhibition includes the reproduced kimono also
based on novels of Junichiro Tanizaki or their illustrations.
For example, the below kimono and obi sash
were born from this illustration by Yuki Ogura
for The Makioka Sisters of Junichiro Tanizaki.



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展覧会図録より


こちらは、谷崎の『夏菊』そのままの昭和初期の着物です。
菊五郎演出の「保名」の菜の花から思いついて
小説のヒロインが画家に特別注文した、春の訪問着。
このアンティーク着物の持ち主は
歌舞伎ファンだったのか、文学少女だったのか…

Here is kimono in the early Showa period
that might have been inspired by the kabuki at that time or
by Tanizaki's novel whose heroine ordered an original kimono
with mustard flower pattern after having seen the above kabuki.


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蝶の帯や蝶の着物に見とれて庭へ出れば、
おや、山茶花にも蝶がとまっていました。

We found a butterfly on a sasanqua camellia
just like the one on the above kimono.


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谷崎が撮影した、妻松子のポートレートが忘れられません。
蘭(ろう)たけた美女とは、こういう人を指すのでしょう。

「眼でも、鼻でも、口でも、うすものを一枚かぶったようにぼやけていて(…)
じいっとみているとこっちの眼のまえがもやもやと翳ってくるようで
その人の身のまわりにだけ霞がたなびいているようにおもえる(…)」
― 谷崎潤一郎『蘆刈』

Here is a portrait photograph of Junichiro Tanizaki's wife
taken by the writer himself. How graceful and refined !



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この展覧会は12月2日で終わりましたが
まもなく櫛とかんざしの展覧会が始まります。
優雅な喫茶室でいただいた、作家好みのモカ・ロール。
テラスに出れば、『蘆刈』に綴られた山崎の風景がひろがります。

A mocha roll is the original cake for this exhibition.
The author liked this type of cake in the Showa period.


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明治時代以降、化学染料が普及しました
The chemical dyes have become popular since the Meiji period.
The mauvaine was discovered by William Perkin (1838–1907).





モガといふ言葉も知らぬヒロインにぴつたりもつちりモカ・ロールかな

a mocha roll
reminds me of a heroine
of his novel
who was a forerunner of
the "moga (modern girl) "


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またの名は“スイス・ロール”(Swiss roll)

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色とりどりの紅葉&お気に入り秋ショット2018!




by snowdrop-uta | 2018-12-10 15:45 | 本棚から(book) | Comments(7)

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Bokusui's Love by Machi Tawara
Wakayama Bokusui is a tanka poet (wiki)


白鳥(しらとり)は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 若山牧水


この短歌を翻訳するとき、まず迷うのは「白鳥」が単数形か複数形か、という問題である。
『近現代短歌アンソロジー』(仏語短歌出版、佐佐木幸綱序文)では、仏訳、英訳ともに単数形になっている。

Those who translate the below tanka must consider first whether "a white bird" or "white birds".
Both French and English translations use the plural form (Anthologie de tanka japonais modernes).



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Anthologie de tanka japonais modernes / An anthology of modern Japanese tanka



けれども、俵万智はなんとなく二、三羽であると感じていたという。
彼女の恩師、佐佐木幸綱も講義のなかで、一羽ではむしろ端的すぎる、
牧水の孤独はカオスを持った猥雑なもので、二、三羽いた方が牧水らしいと述べた。

But the author had felt in her school days that Bokusui sang a few birds.
Her professor Yukitsuna Sasaki also interpreted in his lecture that
Bokusui's solitude includes vulgar chaos and a few birds fit this tanka.



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『牧水の恋』の表紙には白い鳥が二羽が描かれている。まるで牧水とその恋人のような番(つがい)の鳥。
けれど、裏表紙を見ればもう一羽…この恋は三角関係であった。いや、正しくは四角関係であったのだ。

Two white birds are seen on the front cover of this book like Bokusui and his lover.
But there is another bird on the back cover…Bokusui's love was a love triangle or quadrangle.



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なお、この「白鳥」は「はくちょう」とは限らない。
雑誌発表時には「はくてう」というルビが打たれていたが、
これは活版印刷の活字上のミスで、後に「しらとり」と改められたという。
表紙の絵の鳥も、白鳥よりはユリカモメのように見える。

The white birds are not necessarily swans. The illustrated birds look like hooded gulls.



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狩野山雪筆「雪汀小禽図屏風」のユリカモメ*hooded gulls painted by Kano Sansetsu


鳥の目は下から閉ぢる大粒の涙をまぶたに閉ぢこめるため (2015年)

Les yeux d’ oiseau ferment de bas,
c’est pour enfermer de grosses larmes dans les paupières.




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同上 * idem.



「染まずただよふ」というゆったり感は、飛んでいる鳥というより
海に浮かぶ鳥を眺めている感じである、と佐佐木幸綱は説く。
けれども、牧水の気性やこの恋の顛末といった背景知識のない読者は
むしろ一羽の鳥の飛翔をイメージするのではなかろうか。
とりわけ若人は、孤高 ― 孤独なる高み ― にあこがれるものだから。

According to the professor, Yukitsuna Sasaki,
the depiction "float(s) without being dyed" suggests
the bird(s) floating on the sea rather than the flying bird(s).
But a reader who has no background knowledge of Bokusui's character and of his love
might imagine a single flying bird.
Especially a young reader, who often longs for the solitude and aloofness.



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礼文島のカモメ(2014年)


時間には「クロノス時間」と「カイロス時間」があるという。
前者は直線的に流れる客観的時間、後者はときにたゆたい、ときに瞬間的な主観的時間。
この短歌にながれている時間は、じつはカイロス時間ではないだろうか。
飛んでいる白い鳥は、見る者の心の中でたゆたい、その一瞬は永遠に静止する。
まるで一葉の写真のように。あるいは連続イメージのフィルムのように。

It is said that there are two kinds of times: the Chronos time and the Kairos time.
While the former is objective and linear, the latter subjective and sometimes momentary.
I think this tanka is in the Kairos time. In a reader's mind,
a moment of a flying white bird can be cut and rest eternally like a photograph.




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といふ時の襲(かさね)をまとふとき夕べはやきを人はとまどふ

en mettant
la gradation du temps de l' automne
on est embarrassé
par les crépuscules si courts



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もっとも佐佐木幸綱は、孤独な白い鳥に憧れる若人の心を承知していて
逆説によって学生たちに揺さぶりをかけたのかもしれない。そして
俵万智はやわらかで鋭い鑑賞眼をそなえた女子大生だったのだろう。

Yukitsuna Sasaki knew the young mind's preference for the solitary white bird
and might have tried to upset them by his paradox.
And his pupil, Machi Tawara must have been a university student with a flexible way of thinking.


青つながりのおまけ * Blue Bonus in my archives


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みづうみの光あつめて白鳥は空のかなたの星とかがやく☆彡

gathering
sparkling lihgts on a lake
a white bird
change to a star
in a distance

みづうみの光あつめて白鳥はまひるの空の星となるらむ


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フィンランドの紙幣とフィヨルド(1997年)


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色とりどりの紅葉&お気に入り秋ショット2018!
















by snowdrop-uta | 2018-11-25 17:07 | 本棚から(book) | Comments(9)

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靭公園(5月撮影)


くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる  正岡子規

red-budded rose
grown to two feet
on its
soft thorns
soft spring rain falls
Masaoka Shiki, tr. by snowdrop




この歌は子規が亡くなる二年前の作です。自室から庭を眺めて詠んだ五首のうち、三首目に当たります。よく知られたこの一首について、子規になり代わって、200字以内で語ってみましょう。(下の小文は去年、NHK学園通信講座の課題として提出したsnowdropのオリジナルです)

The above tanka was made by Masaoka Shiki three years before his death, in April in 1900. He composed five tanka on that day observing the garden from his room. Today snowdrop makes a brief analysis of this tanka in place of Shiki. (one of my reports to NHK correspondence course in 2017)



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今日は庭を眺めて詠んだ。山吹、菜の花、小鳥ども…長閑な小庭の五首の中央に、ひつそり静まる薔薇の歌一首。ここだけ、花も鳥も日光も無く、ただ針芽に春雨が降る…。「やはらかに」は「春雨」にも「針」にも掛かる。鋭い針もまだ柔らかい芽吹きの季節…蕪村の小貝(*をぬらした春雨は、わが庭の針芽をもぬらし、伸ばし、尖らせてゆく。花かげの針が余の指を刺すことはつひに無いであらう。



「春雨や小磯の小貝ぬるるほど」蕪村


Today I (Shiki) composed five tanka while observing the garden from my bed. Japanese rosea,
vegetable flowers, wild birds
in the middle of a series of tanka, the one on the rose thorns is rather melancholic. Only this one is without flowers, birds, or sunshine, and you see only falling soft spring rain on the soft thorns (in this season, the thorn is still soft like the bud) . While the thin spring rain was falling on the small cherry-flower-petal-like shells (Nitidotellina nitidula) in a haiku by Yosa Buson, this spring rain is moistening and hardening the thorns and making this branch grow. A thorn under the petal will never prick my finger because I will never walk in the garden again. ― by snowdrop, in place of Shiki



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くれなゐの薔薇の棘には棘ゆゑの哀しみありてみどりをしたふ snowdrop


because

a thorn of red rose

has its own sadness,

it longs for

the light green stalk.



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棘の少ないアンジェラ * Angela with few thorns


熱高きひとへ届けむストロベリーアイスといふ名のさはやかな薔薇 snowdrop 

to the bed
of the poet with fever
I wish I could have delivered
these fresh roses named
strawberry ice



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ストロベリーアイス * Strawberry Ice * gelée transparente et odorante de pétales de rose


薔薇深くぴあの聞ゆる薄月夜  正岡子規

deep inside of a rose
I hear the sound of a piano
in the vague moonlit evening


haiku by Masaoka Shiki, tr. by snowdrop
Shiki means Lesser cuckoo in Japanese. He compared his hemoptysis (like Chopin's) to this bird's red beak.


♪ ぴあの「雨だれ」(ショパン)



「sick rose william blake」の画像検索結果

W. ブレイクの「病めるバラ」(pinterest)

「やまと美人ひとり」はまた今度。。。

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by snowdrop-uta | 2018-05-30 06:20 | 本棚から(book) | Comments(5)

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二十年(はたとせ)前、母と訪ねた平安神宮の桜、今年ひさびさに見に行きました。(三月下旬)
花や昔の花ならぬ…花は昔どおりの花ではありませんでした。『細雪』や『古都』を彷彿とさせる紅しだれ桜は若木に替わり、池畔の桜も勢いを失っていました。あれは一期一会の花見だったのですね。

The weeping cherries in Heian Jingu Shrine in March that I appreciated with my mother around twenty years ago…. The cherry blossoms were not what they had been. The cherry trees referred in The Makioka Sisters by TANIZAKI Junichiro and The Old Capital by KAWABATA Yasunari, some of which were replaced by younger ones and some have lost vigor. That cherry-blossom viewing was an once-in-a-lifetime experience.


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康成のさくら潤一郎のさくら母と一緒にはるかな空へ

母と見し(おほ)き桜は代替はり若木の奥に四十雀鳴く

le grand cerisier
que je vis avec ma mère
est succédé
par un jeune cerisier
auquel fond chante un mésange


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「夕空にひろがっている紅の雲」(『細雪』)の紅枝垂(三連パノラマ)


二十年前のアルバム。その日の桜の花びらも貼りこんで…(アナログ!) お時間が許せば、冒頭の二枚の写真と同じ構図を探してみてください。

「西の廻廊の入り口に立つと、紅しだれ桜たちの花むらが、たちまち、人を春にする」―『古都』

今なら、詩的なこの一節を書き写すかもしれません。継ぎ紙の便箋を見つけたのは、嵐山だったか、嵯峨野だったか…。

Here is my book of photographs twenty years ago with the citations from the books of the above authors and with the petals we picked up that day. Do you find two photos whose compositions are the same as those of the above photos (March in 2018) ?



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白虎池と菖蒲


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臥龍橋とも呼ばれる飛び石(手前)と茶室(右)* steppingstones and a tea house (right) 



「茶室の下の小みちを抜けると、池がある。岸近くに、しょうぶの葉が、若いみどり色で、立ちきそっている。睡蓮の葉も水のおもてに浮き出ていた。(…)真一は先きに立って、池のなかの飛び石を渡った。(…)鳥居を切ってならべたような、円い飛び石である。(…)もちろん、老女も渡れる飛び石である。」―『古都』

この「沢渡(さわた)り」という飛び石の上で、母に写真を撮ってもらいました。とろいsnowdropにはけっこうスリリングでした!今は立ち入りが禁じられています。

My mother took a photo of snowdrop on one of these steppingstones called Sawatari (or Lying Dragon Bridge). Though Yasunari wrote "they are the steppingstones even an old woman can walk over", it was thrilling for snowdrop, a poor athlete ! One finds a signboard "Keep Out" at this spot today.



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橋殿をのぞむ


「やがて橋殿にかかった。正しくは泰平閣と呼ぶように「殿」の姿も思わせる「橋」である。橋の両側は、低いもたれのある床几のようになっている。人々はここに腰かけて休む。池ごしに庭のたたずまいをながめる。」―『古都』

母と一服した橋殿(泰平閣)の上。今年はここで、フランスからの旅行客の写真を撮ってあげました。スマホ慣れしていないsnowdropには難しくて……ボン・ヴォヤージュ(よい旅を) !

On Hashi-dono, where we had taken a rest, I took a photo of French travelers. It was difficult for me to operate a smart phone ! Bon voyage !


橋殿から池のなかに庭のたたずまいを…

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池のうへ泰平閣に風わたりアッセ・ソンブル(ヒンヤリ暗イ)と旅人の声

au Hashi-dono
sur l’ étang

la brise souffle,

un voix d’ un des voyageurs

“assez sombre



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同じ桜を、違うアングルから ↑↓*the same cherry tree from different spots

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「橋の向うに、うちの好きな桜があります」「ここからも見える、あれね」
その紅しだれは、もっともみごとであった。名木としても知られている。枝はしだれ柳のように垂れて、そしてひろがっている。その下に行くと、あるなしのそよ風に、花は千重子の足もとや肩にも散った。」―『古都』

The heroine of The Old Capital loves this cherry tree best. ↑↓


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「(…)まことに、ここの花をおいて、京洛の花を代表するものはないと言ってよい。」

これは『古都』に引かれた『細雪』(谷崎潤一郎)の一節です。『細雪』では、登場人物の幸子が、平安神宮から帰って歌を詠みます。

「ゆく春の名残り惜しさに散る花を袂のうちに秘めておかまし」

夫の机の上の書簡箋の余白に鉛筆で走り書きした歌。明くる朝、この歌のあとへ、夫の手で次のような歌が記されていました。

「いとせめて花見ごろもに花びらを秘めておかまし春のなごりに」

夫貞之助の目には、春の装いの四人姉妹が、花そのものと映っていたのでしょう。それは、いずれ思い出に変わってしまう花……先取りされた追憶でした。

In Junichiro' s novel, one of Makioka sisters and her husband composed rather banal waka. Their waka represent the nostalgia in advance, the memory of the sisters in the livery of spring just like the ephemeral cherry blossoms.



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疎水に散る桜 * falling petals on the water


ちらちらてふ言の葉どおり花びらは散るよ重さも涙もなしに

volant au vent
des pétales de fleurs de cerisiers,
ils tombent
sans poids
sans tristesse



関連画像


おまけ*映画「細雪」(市川崑監督)(上)とNHKドラマ「平成細雪」(下)(google search)
Bonus*The Makioka Sisters directed by ICHIKAWA Kon*Do you find KISHI Keiko?(upper figure)
The Makioka Sisters in the Heisei period (2018, NHK) (below figure) (All Rights Reserved)


「NHKドラマ 平成細雪」の画像検索結果



春の桜ショット&私のお花見弁当【PR】
by snowdrop-uta | 2018-04-06 20:40 | 本棚から(book) | Comments(8)

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 ピアノの中には羊が隠れている!『羊と鋼の森』はピアノ調律師の物語。ピアノのなかの羊について教えてくれます。
三本一組の弦の下にひっそり並ぶ白いハンマー。このハンマーは羊毛のフェルトでできています。
 ラドミの鍵盤を押すと、羊が三匹ジャンプして鋼の弦を打ちました。↓

Le piano cache des moutons !?
Le Bois de Moutons et d'Acier est une nouvelle sur un accordeur,
qui dévoile des moutons dans le piano:
des marteaux couvertes de feutre. Oh! Trois moutons sautent! ↓



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「正倉院 羊」の画像検索結果

 
正倉院宝物「羊木屏風」には中国美術の香りが…
Un mouton chinois est venu au Japon.


昔は、山や野原でいい草を食べて育ったいい羊のいい毛を贅沢に使って、いいハンマーをつくっていたそうです。
「羊」と「大」から「美」という文字ができます。漢字の生まれた大陸国、中国において、大きな羊は豊かさの象徴でした。
いい羊毛でできたいいハンマーからは、豊かな深い音が出るのでしょう。

On fabriquait le bon marteau avac le bon feutre
de la bonne laine du bon mouton qui mange bonnes herbes.
Un caractère chinois "美"(beauté)se compose de "羊"(mouton)et "大"(grand).
Un grand mouton est un symbole de la richesse et une bête sacrificielle en Chine.


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ショパンのエチュードop.25-1のメロディラインは、羊飼いの笛を表しています。
フランスのピアニスト、リパッティは体が弱く、回復期の腕ならしにいつもこの曲を弾いたとか。


Etude op. 25-1 de Chapin cache des sons d' un chalumeau d' un berger.
Dinu Lipatti (1917-1950) , un pianiste maladif, jouait ce morceau à chaque convalescence.


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ノルマンディ郊外の羊たち(2004年)* Normandie *agneau divin (google search)

東洋でも西洋でも、牧畜のさかんな地域では、羊は神への捧げものです。

「神の子羊」の画像検索結果


神秘の子羊(ファン・アイク兄弟)


ヨーロッパから日本にピアノが伝わったのは、江戸時代末です。はじめは洋琴と呼ばれていました。
明治時代の舞踏会、バッスル・スタイルのドレスで Shall we dance?!

Le piano est venu qu Japon à l'époque d'Edo.
Bienvenue à un bal de l'ère Meiji ! Shall We Dance ?



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La tournure et dance de l'ère Meiji
(日経新聞*NIKKEI)

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明治の猫脚のピアノ、素敵ですね ♪ ヨーロッパでは、グランドピアノの脚がなまめかしいからと、ズボンを履かせたこともあるそうです。

Un piano avec "les pieds de chat"(pieds Louis XV en japonais), c'est chouette! On dit que les pieds du piano étaient couverts de pantalons en Europe parce qu' ils avaient l'air trop sensuels !




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ショパンのバラッド第1番は、バレエ「椿姫」にも使われています。
椿は19世紀に日本から西洋に渡りました。
香りがないので、胸を病んだヒロインのお気に入りの花でした。

Ce morceau de Chopin est utilisé dans le ballet La Dame aux camélias.
La camélia a été importée en Europe du Japon au 19e siècle.
Elle a été la fleur préférée par la dame malade parce qu' elle est sans odeur.





はろばろと海をわたりてカメリアは病める女の胸を飾りき

passant

la mer vaste

la camélia

est arrivée

sur poitrine de la dame malade



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月光椿(Clair de Lune)(2016年)

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by snowdrop-uta | 2018-03-30 06:33 | 本棚から(book) | Comments(4)

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(Cabourg, France, 2004)




苦き海(ラメール・アメール)こころのなかに満ちくれば水平線をどこまでも行く

Quand la mer amere  monte dans mon cœur,   mon cœur…!  suis une lueur du horizon 
à l’ infini




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「出船の港」歌碑(時雨音羽)「どんとどんとどんと波のり越えて…」(利尻島)* Rishiri Island(2014)



明日は海の日です。* Le jour de la mer, il tombe demain au Japon.

 

ここからは、お時間が許せばどうぞ。

「(…)彼女たちの方から(花の名を)訊ねたものがあった。それは花期も終わっていると思っていたシシウドの、見事に白々と咲いているひと株であった。

 日本ではシシウドと言って、もう少し高いところでは真夏に沢山咲いているのだがと言って、その後が続かなくなってしまった。芹科だということは分かっているのに、それではどうにもならない。シシウドで我慢してもらおう。そう思ってまた歩きはじめると、その属名のアンゲリカを想い出した。

 私は大きな声で、アンゲリカ、アンジェリカと叫んだ。そして、あなたたちの国にもアンジェリックは同じ花を咲かせている筈だと言ったが、彼女たちは、私のアンゲリカと叫んだのが可笑しかったのか、それともふたりで何か別のことを想い出したのか、立ちどまって、体をくねらせていつまでも笑い続けていた。(…)」

串田孫一「アンジェリカまたは秋の訪れ」『青く澄む憧れ』
注:「アンジェリカ」という名前には「天使」の意味が含まれている。

 

(…)Elles m’ a demandé le nom d’ une fleur. C’ a été un pied de shishi-udo (lion-aralia, lion=grand) avec des fleurs candides que j’ avais cru que sa floraison avait déjà été fini.

 Au Japon, elle s’ appelle shishi-udo et est se propage mieux en altitude en plain étéj’ ai leur expliqué ça, mais je n’ai pu continuer plus. Bien que je connaisse qu’ elle est une espèce de plantes de la famille des Apiacées, son nom, ça ne me reviens jamais! Tant pis, elles doivent se contenter du nom japonais, shishi-udo. Quand j’ ai commencé à marcher, son nom latin m est revenu subitement.

 Angelica, Angélique! Je cria. Et je dit qu’ elles durent voir l’ angélique en fleur chez elles aussi, mais elles continuaient à rire en s’arrêtant et se tortillant indéfiniment. C’ a été parce que mon cri les fit rire ou elle se mirent à rire en se souvenant de quelque chose? (…) ― Angelique ou Visite de l’ automne (Œuvres complètes de KUSHIDA Magoichi, vol.6)(traduction de snowdrop, 2015)



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シシウド(アンゲリカ)* Angelica(2014)


古い写真で遊んでみました。新作でなくて済みません…。usaさん、ご企画に感謝します。* Special thanks to usa!



まだ右手タイピングできない状態なのに、翻訳の仕事が増えてしまって…しばらくブログをお休みします。
また帰って来ますので、その時はよろしくお願いします。

Although I cannot yet type with the right hand, my workload (translation) has increased. I stay away from my blogues for a while. See you again!


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波と遊ぶ小犬 * canis minor(2004)


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by snowdrop-uta | 2017-07-16 04:57 | 本棚から(book) | Comments(2)

雨の歌 * Chanson de la Pluie

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詩節と詩節のように夕立の涙をつなぐハーモニーを彼は知っていた(…)空は夕立の銀の糸を天から地へと張りわたした竪琴だった。そして地では、ものそれぞれが独自のやり方で竪琴をひびかせ、かわるがわるに固有のテーマを奏でていた。木の葉のみどりの指に従って、水晶の絃はこもった音色を軽やかにひびかせた。まるで霧の魂の声のようだった。
(フランシス・ジャム『野うさぎ物語』手塚伸一訳)


Il connaissait l' harmonie qui enchaîne comme des strophes les larmes de l' ondée, (…) Le ciel était comme une harpe où se tendaient les fils d' argentde l' averse, de haut en bas. Et, en bas, chaque chose la faisait résonner d' une façon particulière et, tour à tour, reprenait son propre thème. Aux doigts verts des feuilles les cordes de cristalsonnaient, légères et creuses. On eût dit la voix de l' âme des brouillards. 


Le roman du lièvre par Francis JAMMES🐇


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鍵盤のごとく
()つ枝をのぼりつめ燕尾すがた四十雀(しじゅうから)去る

(Comme le clavier sur une haut branche il a monté  et s’ est envolé un mésange en que-de-pie.)



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銀いろの雨がハープの絃のように写っています*
Silver rain looks like the strings of a harp. ↑


(ベートーヴェン「ハープ」Beethoven: String Quartet No.10 in E flat major "Harp" op.74



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『串田孫一集』筑摩書房*アイリッシュ・ハープを弾く串田孫一*
Kushida Magoichi playing the Irish harp

📚 (イニシュフリーのうた)
📚The Lake Isle of Innisfree by W.B. Yeats

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by snowdrop-uta | 2016-06-07 21:05 | 本棚から(book) | Comments(3)

*雪ごもりした小鳥がまねる百の鳥の歌…* (All Rights Reserved)