薔薇の雨 * roses in the rain

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靭公園(5月撮影)


くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる  正岡子規

red-budded rose
grown to two feet
on its
soft thorns
soft spring rain falls
Masaoka Shiki, tr. by snowdrop




この歌は子規が亡くなる二年前の作です。自室から庭を眺めて詠んだ五首のうち、三首目に当たります。よく知られたこの一首について、子規になり代わって、200字以内で語ってみましょう。(下の小文は去年、NHK学園通信講座の課題として提出したsnowdropのオリジナルです)

The above tanka was made by Masaoka Shiki three years before his death, in April in 1900. He composed five tanka on that day observing the garden from his room. Today snowdrop makes a brief analysis of this tanka in place of Shiki. (one of my reports to NHK correspondence course in 2017)



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今日は庭を眺めて詠んだ。山吹、菜の花、小鳥ども…長閑な小庭の五首の中央に、ひつそり静まる薔薇の歌一首。ここだけ、花も鳥も日光も無く、ただ針芽に春雨が降る…。「やはらかに」は「春雨」にも「針」にも掛かる。鋭い針もまだ柔らかい芽吹きの季節…蕪村の小貝(*をぬらした春雨は、わが庭の針芽をもぬらし、伸ばし、尖らせてゆく。花かげの針が余の指を刺すことはつひに無いであらう。



「春雨や小磯の小貝ぬるるほど」蕪村


Today I (Shiki) composed five tanka while observing the garden from my bed. Japanese rosea,
vegetable flowers, wild birds
in the middle of a series of tanka, the one on the rose thorns is rather melancholic. Only this one is without flowers, birds, or sunshine, and you see only falling soft spring rain on the soft thorns (in this season, the thorn is still soft like the bud) . While the thin spring rain was falling on the small cherry-flower-petal-like shells (Nitidotellina nitidula) in a haiku by Yosa Buson, this spring rain is moistening and hardening the thorns and making this branch grow. A thorn under the petal will never prick my finger because I will never walk in the garden again. ― by snowdrop, in place of Shiki



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くれなゐの薔薇の棘には棘ゆゑの哀しみありてみどりをしたふ snowdrop


because

a thorn of red rose

has its own sadness,

it longs for

the light green stalk.



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棘の少ないアンジェラ * Angela with few thorns


熱高きひとへ届けむストロベリーアイスといふ名のさはやかな薔薇 snowdrop 

to the bed
of the poet with fever
I wish I could have delivered
these fresh roses named
strawberry ice



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ストロベリーアイス * Strawberry Ice * gelée transparente et odorante de pétales de rose


薔薇深くぴあの聞ゆる薄月夜  正岡子規

deep inside of a rose
I hear the sound of a piano
in the vague moonlit evening


haiku by Masaoka Shiki, tr. by snowdrop
Shiki means Lesser cuckoo in Japanese. He compared his hemoptysis (like Chopin's) to this bird's red beak.


♪ ぴあの「雨だれ」(ショパン)



「sick rose william blake」の画像検索結果

W. ブレイクの「病めるバラ」(pinterest)

「やまと美人ひとり」はまた今度。。。

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Commented by milletti_naoko at 2018-05-30 19:07
課題として提出された、子規に代わってつづられた思い、すてきですね。調べも優しく、情景が目に浮かぶような冒頭の子規の歌、いいですよね。最近こちらでは、降るときは激しい雨になることが多いのですが、優しい春雨には、ふとこの歌を思い出します。どのバラの写真も興味深いです。

他にもブログのお友達で、万葉集講座に通われている方がいらして、そういう文学の講座が日本の各地で開かれ、多くの方が足を運ばれているだろうことが、うれしいです。
いつもとても叙情豊かで、造形も深く写真も美しい記事を拝見しているので、その大きな背景に、いろいろな漫画もあると知って驚きました。いつかわたしも読んでみたいと思いました。
Commented by snowdrop-uta at 2018-05-31 07:32
*naokoさん
数首の歌から一首を選び、およそ200字で自由に述べるという課題でしたが
こんな風に遊び心を出してしまいました。
冒頭の子規の歌、いいでしょう!
イタリアの激しい雨、須賀敦子のいう「アクワッツォーネ」に当たるのでしょうか。
naokoさんのお写真に写っている様々な表情の空を思います。

万葉集講座に通っているブロ友、私にもいて、記事を読むと嬉しくなります。^^
万葉集の時代を描いた漫画家には、里中満智子や長岡良子がいますね。
山岸涼子の漫画、日本美術史の恩師が、聖徳太子らの似顔絵入りの系図を重宝していました♪
映画やアート、音楽への道を教えてくれたのも漫画でした。

Commented by 1go1ex at 2018-06-01 22:06
バラの写真も牡丹の写真も素晴らしく美しくて魅了されます。
どれも見飽きません。構図というか、切り取り方もうまいなあと思います。

「くれなゐの」の短歌、私も知っていますが、よく考えてみると正岡子規といえば俳句なのに、短歌も作っていたんですね!
どちらにも才能を発揮していたというのはすごいですね。

snowdropさんはNHK学園の通信講座を受けられたのですね。今も続けておられるのでしょうか。
受けてみた感想、よろしければ教えてください。
私も俳句の通信講座を受けようかどうしようかと思案中なんです。
Commented by snowdrop-uta at 2018-06-02 20:34
*1go1exさん
拙いながら写真を撮って、その花の声に耳を澄ませるのが好きです。
他の方にも美しいと感じてもらえたら、いっそう嬉しいです。

俳句と短歌、一方に重心を置いて他方をも楽しむ、という人は結構いますが
どちらにも優れた足跡を残した子規はすごいですね。
時代のせいもあるかもしれません。
鴎外や茂吉は日記かツイッターみたいに歌を作るんです。いまより詩歌への距離が近かったのですね。

短歌の通信添削講座には三年在籍しましたが、この春、いったん離れました。
そろそろ外の世界でもまれてみようと思って…
じつは、国際タンカ協会(の前身)の存在は、通信添削の質問欄で尋ねて教えてもらったんです。

カルチャースクールなどでじかに指導を受けたことがないので、通信講座ならではの良さがどこにあるのかはっきりは言えませんが
NHK学園では、複数の先生から添削を受けられるのが魅力です。次にどの先生に当たるかは分からないのですが、それも楽しみでした。ネットで覗いてみてください。私としては、受講してみられることをお勧めします。

http://www.n-gaku.jp/life/course/5A0.html (NHK学園HP)

Commented by 1go1ex at 2018-06-02 21:16
お返事ありがとうございます。
すでに資料は取り寄せたんです。
前向きに考えて見ることにします。
by snowdrop-uta | 2018-05-30 06:20 | 本棚から(book) | Trackback | Comments(5)

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