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大山崎山荘美術館



「谷崎潤一郎文学の着物」はアンティーク着物だけではありません。
小説の挿絵をもとに再現された着物もあります。
『細雪』のために小倉遊亀が描いた着物はもみじの絵柄。
帯には さみどりの蝶々が飛んでいます。

This exhibition includes the reproduced kimono also
based on novels of Junichiro Tanizaki or their illustrations.
For example, the below kimono and obi sash
were born from this illustration by Yuki Ogura
for The Makioka Sisters of Junichiro Tanizaki.



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展覧会図録より


こちらは、谷崎の『夏菊』そのままの昭和初期の着物です。
菊五郎演出の「保名」の菜の花から思いついて
小説のヒロインが画家に特別注文した、春の訪問着。
このアンティーク着物の持ち主は
歌舞伎ファンだったのか、文学少女だったのか…

Here is kimono in the early Showa period
that might have been inspired by the kabuki at that time or
by Tanizaki's novel whose heroine ordered an original kimono
with mustard flower pattern after having seen the above kabuki.


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蝶の帯や蝶の着物に見とれて庭へ出れば、
おや、山茶花にも蝶がとまっていました。

We found a butterfly on a sasanqua camellia
just like the one on the above kimono.


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谷崎が撮影した、妻松子のポートレートが忘れられません。
蘭(ろう)たけた美女とは、こういう人を指すのでしょう。

「眼でも、鼻でも、口でも、うすものを一枚かぶったようにぼやけていて(…)
じいっとみているとこっちの眼のまえがもやもやと翳ってくるようで
その人の身のまわりにだけ霞がたなびいているようにおもえる(…)」
― 谷崎潤一郎『蘆刈』

Here is a portrait photograph of Junichiro Tanizaki's wife
taken by the writer himself. How graceful and refined !



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この展覧会は12月2日で終わりましたが
まもなく櫛とかんざしの展覧会が始まります。
優雅な喫茶室でいただいた、作家好みのモカ・ロール。
テラスに出れば、『蘆刈』に綴られた山崎の風景がひろがります。

A mocha roll is the original cake for this exhibition.
The author liked this type of cake in the Showa period.


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明治時代以降、化学染料が普及しました
The chemical dyes have become popular since the Meiji period.
The mauvaine was discovered by William Perkin (1838–1907).





モガといふ言葉も知らぬヒロインにぴつたりもつちりモカ・ロールかな

a mocha roll
reminds me of a heroine
of his novel
who was a forerunner of
the "moga (modern girl) "


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またの名は“スイス・ロール”(Swiss roll)

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色とりどりの紅葉&お気に入り秋ショット2018!




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# by snowdrop-uta | 2018-12-10 15:45 | 本棚から(book) | Comments(7)

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むかしサントリー山崎蒸留所で求めたウィスキーの小瓶を一輪挿しに…
ビヤ樽をかたどった箸枕も、そのとき見つけました。
今年最初の水仙に、今年最後のカレンダーの翡翠(かわせみ)がやって来ました。

Here are a small bottle of whisky of Yamazaki distillery and
a chopstick rest in the form of a beer barrel (in 2000s).
You see the first narcissusses and sasanqua in our garden
on the last sheet of our calendar of 2018.




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the above green part is the original colour.



季節ごとに額絵(『原寸美術館』)を入れ替えてきたsnowdropが
四季を通じて、このセーヌ川の絵のまま過ごすようになったのは
セーヌやテムズの国のサロン・ブログの扉を叩いてからでした。
万物は流転します(ヘラクレイトス)。
一つの扉が静かに閉じられた翌朝、ことんと傾いた額絵を取り外してみると、
数年で、こんなに色味が変わってしまっていました。
緑の帯が、額縁に覆われていたオリジナルの色です。

Snowdrop has not changed the above landscape
since she opened a door of a salon-blog
of the country of the Seine and Thames.
Patna rhei (Τα Πάντα ῥεῖ ― Ἡράκλειτος).
In the morning when one of the doors was closed to everyone,
it leant and showed its colours that had already changed.
And that day's newspaper quoted Hayao Kawai's words:
"When a process is suspended just before the completion, it produces
an aesthetic emotion:
aware."



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この秋の帰り花 * reflowering lily (November) for Immaculata Conceptio Beatae Virginis Mariae


叔父の友が描いた油絵は子供のころと同じ色です。噴火で山の形は変わりましたが(北海道駒ヶ岳)。
12月8日は無原罪の聖母の祝日です。1999年の今日、snowdropはヴェネツィアにいました。

Here is an oil painting by a friend of my uncle in 1968.
The colours are the same as those in my childhood.



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ヴェネツィアの宿にも聖者の祠にも白ゆり香るまりあの祝日

Immaculate Conception…
churches, hotels and a saint's small shrine
in Venice in 1999
were in the fragrance
of Madonna lily



おまけ*Bonus



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フランスとイギリスゆかりの料理家、レイチェル・クー(Rachel Khoo

I am going to publish not a few exciting articles I have already written.


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# by snowdrop-uta | 2018-12-08 07:38 | 花草木に寄す(plant)

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大山崎山荘美術館


マッサンこと竹鶴正孝はNHKドラマ(2014年後期)の主人公。
このマッサンとおなじくヨーロッパに遊学して帰国後山崎に住み、
マッサンによるニッカヰスキー創業に参画した人物がいます。
実業家、加賀正太郎(1888-1954)。彼の別荘が大山崎山荘です。
加賀は晩年、ニッカヰスキー社の株を
朝日麦酒株式会社(アサヒビール株式会社)の社長に託しました。
この縁から、アサヒビール大山崎山荘美術館が誕生しました。
ウィスキーとビール、二つの琥珀の夢が一つになりました。

Snowdrop and her friend visited Asahi Beer Oyamazaki Villa Museum.
Here is the history of the museum in English →



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「マッサン 鳥居 琥珀の夢」の画像検索結果


山本耕史演じる「マッサン」も登場(左)(google search)


なお、テレビ東京系の4Kドラマ「琥珀の夢」の主人公のモデルは、
寿屋(サントリーウィスキー)創業者の鳥井信治郎です。原作の
伊集院静『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』は日本経済新聞に連載されました。

Amber Dream is the title of the TV drama in 2018
whose original is a serial story in NIKKEI.



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大山崎山荘美術館を久しぶりに訪ねました。お目当てはアンティーク着物の展覧会です。
着物姿の観客もちらほら。ミレーの「落穂ひろい」の帯を締めた女性も!(写真は無し)

We enjoyed the exhibition of kimono
in the novels of Junichiro Tanizaki.
There were several visitors in kimono.
(e.g. obi-sash with Millet's Gleaning-design! no photo…)



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美術館というより、山荘の紅葉の宴に招待された気分です。
加賀正太郎はウィンザー城を訪れた際に眺めたテムズ川を偲び、
木津、宇治、桂の三川が合流する大山崎に土地を求め、1912年に着工。
二度の工事を経て、完成したのは1932年頃とされます。

木骨を見せるハーフティンバー方式、イギリスでもよく見かけました。

We felt as if we had visited a villa in Tudor style rather than a museum.
(My friend and I have traveled in England and Scotland in 1990s.)

On the architecture of the museum →


「ももさへづり チェルトナム村」の画像検索結果


ロンドン近郊、チェルトナム村の木組の家(Cheltenham, England, 1997)



こちらは庭園から見た山荘です。
広い庭に紅葉があふれ、オブジェが置かれて、野外美術館の趣きです。

The villa seen from the garden.
The garden is like an open-air museum.


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バリー・フラナガン《ボールをつかむ鉤爪(かぎづめ)の上の野兎》
Barry Flanagan “Hare on Ball and Claw”


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フランソワ=グザヴィエ・ラランヌ《新しい羊たち》
François-Xavier Lalanne “Les Nouveaux Moutons”



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邸内からは、秀吉が一夜で建てたという宝積寺三重塔が見えます。
そして、広々としたテラス!
木津、宇治、桂の三川が合流する山崎の大パノラマを一望できます。
気分は山荘の招待客から、陣を構える戦国武将へ!

From the inside of the villa, you see
the pagoda of Hoshaku-ji Temple related to Toyotomi Hideyoshi.
And from the wide terrace, you enjoy
the panorama of Yamazaki where three rivers join.
We now feel as if we had been samurai taking up our positions!


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はるか背割の堤に並んだ桜紅葉が見えるでしょうか。
今年の台風で倒れた木もあるそうですが…
手前に広がるのは山荘の庭園の紅葉です。
どこにピントと色を合わせたらいいか、迷ってしまいますね!

Here is a scarlet panorama…

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この眺めが楽しめるテラス席の佇まいとお菓子、そして
展覧会の着物については12月10日にお話しします。
安藤忠雄設計の「夢の箱」(新棟)はこの記事の中ほどに。↓




(To be continued)

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色とりどりの紅葉&お気に入り秋ショット2018!








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# by snowdrop-uta | 2018-12-06 20:03 | 美術に寄す(fine art) | Comments(0)

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朝空につぶらな瞳とおちょぼ口ならべてみました♡うっふん楓(ふう)の実

fruits de Liquidambar styraciflua comme deux yeux ronds et une petite bouche
… un sourire dans le ciel ♡





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楓(カエデ)によく似た紅葉楓(モミジバフウ)。
大きい星形の葉と丸い実はクリスマス飾りに、
3つの実は 新春の福笑いにも使い回せそう。

Des feuilles de Liquidambar styraciflua ressemblent à celles d'érable.
Ces feuilles servent d' ormenents de Noël ☆彡 ?
Trois fruits servent de "fukuwarai" → ?




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↑散紅葉の中から青い実がひとつ覗いています。
Un fruit vert dans des feuilles rouges tombées

満天星(ドウダン)の上にもふうわりと。↓
Des feuilles sur des Enkianthus perulatus



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星の名のもみぢの上にふうはりと星のかたちの楓(ふう)は降り降る

sur des feuilles
nommé mille étoiles
tombent
des feuilles de Liquidambar styraciflua
celles en forme d' étoiles


満天星のどんと背を押す からくれなゐ





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家に帰ると、天窓になんだか艶っぽいケヤキ落葉が…
まるでルージュを引いた唇のようです。

Une feuille voluptueuse de zelkova serrata chez nous
comme lèvres d'une femme portant un rouge


シャネルのボタンも*boutons de Chanel !!

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母はシャネルのルージュが好きでしたが
snowdropはエスティローダーの匂いと潤いがお気に入り。
シャネルは昨日の朝刊の広告紙面と
エスティローダーは昔の雑誌とアレンジしてみました。
まるで「ルージュの伝言」? →

un rouge de Chanel de ma mère sur le journal d' hier et
ceux d' Estée Lauder de snowdrop sur un magazine de mode



もっと若いころの直虎(2000s)

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天窓を指さして父に「お色気ありそう?」と話しかけると
とつぜん歌い出したのは「黄色いサクランボ」!!! → 🍒

Mon père a commencé à chanter Cerises Jaunes,
un chanson sur trois jeune filles voluptueux !!!


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🐈 若い娘がうっふん 🐈 三人そろえばうっふん 🐈(スリーキャッツ)


こんな歌もありましたっけ…


白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる 俵万智


「サラダ記念日」の画像検索結果

「白菜 台湾故宮」の画像検索結果


翠玉白菜(台湾故宮博物院)(google search)は
snowdropがかつて見た最も豪華なる野菜です…

Chou en jade, Musée National du Palais (Taiwan)
le légume le plus luxueux que snowdrop a vu!!!!!!!!

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# by snowdrop-uta | 2018-11-30 06:24 | 花草木に寄す(plant) | Comments(9)

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Bokusui's Love by Machi Tawara
Wakayama Bokusui is a tanka poet (wiki)


白鳥(しらとり)は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 若山牧水


この短歌を翻訳するとき、まず迷うのは「白鳥」が単数形か複数形か、という問題である。
『近現代短歌アンソロジー』(仏語短歌出版、佐佐木幸綱序文)では、仏訳、英訳ともに単数形になっている。

Those who translate the below tanka must consider first whether "a white bird" or "white birds".
Both French and English translations use the plural form (Anthologie de tanka japonais modernes).



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Anthologie de tanka japonais modernes / An anthology of modern Japanese tanka



けれども、俵万智はなんとなく二、三羽であると感じていたという。
彼女の恩師、佐佐木幸綱も講義のなかで、一羽ではむしろ端的すぎる、
牧水の孤独はカオスを持った猥雑なもので、二、三羽いた方が牧水らしいと述べた。

But the author had felt in her school days that Bokusui sang a few birds.
Her professor Yukitsuna Sasaki also interpreted in his lecture that
Bokusui's solitude includes vulgar chaos and a few birds fit this tanka.



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『牧水の恋』の表紙には白い鳥が二羽が描かれている。まるで牧水とその恋人のような番(つがい)の鳥。
けれど、裏表紙を見ればもう一羽…この恋は三角関係であった。いや、正しくは四角関係であったのだ。

Two white birds are seen on the front cover of this book like Bokusui and his lover.
But there is another bird on the back cover…Bokusui's love was a love triangle or quadrangle.



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なお、この「白鳥」は「はくちょう」とは限らない。
雑誌発表時には「はくてう」というルビが打たれていたが、
これは活版印刷の活字上のミスで、後に「しらとり」と改められたという。
表紙の絵の鳥も、白鳥よりはユリカモメのように見える。

The white birds are not necessarily swans. The illustrated birds look like hooded gulls.



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狩野山雪筆「雪汀小禽図屏風」のユリカモメ*hooded gulls painted by Kano Sansetsu


鳥の目は下から閉ぢる大粒の涙をまぶたに閉ぢこめるため (2015年)

Les yeux d’ oiseau ferment de bas,
c’est pour enfermer de grosses larmes dans les paupières.




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同上 * idem.



「染まずただよふ」というゆったり感は、飛んでいる鳥というより
海に浮かぶ鳥を眺めている感じである、と佐佐木幸綱は説く。
けれども、牧水の気性やこの恋の顛末といった背景知識のない読者は
むしろ一羽の鳥の飛翔をイメージするのではなかろうか。
とりわけ若人は、孤高 ― 孤独なる高み ― にあこがれるものだから。

According to the professor, Yukitsuna Sasaki,
the depiction "float(s) without being dyed" suggests
the bird(s) floating on the sea rather than the flying bird(s).
But a reader who has no background knowledge of Bokusui's character and of his love
might imagine a single flying bird.
Especially a young reader, who often longs for the solitude and aloofness.



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礼文島のカモメ(2014年)


時間には「クロノス時間」と「カイロス時間」があるという。
前者は直線的に流れる客観的時間、後者はときにたゆたい、ときに瞬間的な主観的時間。
この短歌にながれている時間は、じつはカイロス時間ではないだろうか。
飛んでいる白い鳥は、見る者の心の中でたゆたい、その一瞬は永遠に静止する。
まるで一葉の写真のように。あるいは連続イメージのフィルムのように。

It is said that there are two kinds of times: the Chronos time and the Kairos time.
While the former is objective and linear, the latter subjective and sometimes momentary.
I think this tanka is in the Kairos time. In a reader's mind,
a moment of a flying white bird can be cut and rest eternally like a photograph.




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といふ時の襲(かさね)をまとふとき夕べはやきを人はとまどふ

en mettant
la gradation du temps de l' automne
on est embarrassé
par les crépuscules si courts



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もっとも佐佐木幸綱は、孤独な白い鳥に憧れる若人の心を承知していて
逆説によって学生たちに揺さぶりをかけたのかもしれない。そして
俵万智はやわらかで鋭い鑑賞眼をそなえた女子大生だったのだろう。

Yukitsuna Sasaki knew the young mind's preference for the solitary white bird
and might have tried to upset them by his paradox.
And his pupil, Machi Tawara must have been a university student with a flexible way of thinking.







まるで水鳥のような…(Mai Mihara like a waterfowl, a university student)

Grand Prix of Figure Skating, Internationaux de France de Patinage 2018



青つながりのおまけ * Blue Bonus in my archives


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みづうみの光あつめて白鳥は空のかなたの星とかがやく☆彡

gathering
sparkling lihgts on a lake
a white bird
change to a star
in a distance

みづうみの光あつめて白鳥はまひるの空の星となるらむ


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フィンランドの紙幣とフィヨルド(1997年)


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# by snowdrop-uta | 2018-11-25 17:07 | 本棚から(book) | Comments(9)

*雪ごもりした小鳥がまねる百の鳥の歌…* (All Rights Reserved)