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大雅といただく普茶料理 * Buddhist cuisine in Chinese style

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三室戸寺の紫陽花のような主菓子

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 宇治のあじさい寺、三室戸寺から車で北へ10分ほど行くと、黄檗山の萬福寺に着きます。ここは明の禅僧、隠元が開いた禅寺で、予約すれば普茶料理が頂けます。(上の和菓子は含まれません)
 普茶料理とは、隠元禅師が中国から伝えた精進料理で、普く衆に茶を供するという意味があります。
 このお寺は日本の文人画家、池大雅も出入りしていました。彼が普茶料理をふるまわれたらどんな風に感じたことでしょう。ちょっと想像してみましょう。…

 Here is Manpuku-ji Temple associated with Ike no Taiga. He visited this temple for the first time at the age of seven. If the Buddhist cuisine in Chinese style had been served…?


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卍文様の勾欄 * Do you find the s
wastikas in the handrail?



 おや、又次郎(大雅の幼名)が甃(いしだたみ)をすたすた歩いて来ます。年は七才。檀王法林寺(🐈)の僧、一井に連れられています。浄土宗の寺とはまったく違う、きらきらしい黄檗寺院の佇まいに興味深々の様子。いつに無くきょろきょろしていますね。くすっ。(🐈 檀王法林寺は黒招き猫伝説でも知られています)

 There walks Matajiro(Taiga's childhood name)on the pavement! He is attended by his teacher of calligraphy, Priest Ichii of Danno-Horin-ji Temple. The child is curious about the exotic precincts that is different from that of Japanese tem
ples.



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大雅(又次郎)の回想

 私たちはまず、隠元禅師をおまつりする開山堂を訪ねた。蓮の鉢が並んでいる。私が書を学んでいた檀王法林寺にも蓮は咲いていた。だが、一井先生はおっしゃった。
「蓮は仏教の花というだけやない。隠元禅師ゆかりの花どす。蓮根が食用になることを教えてくれはったんは隠元禅師どすから…」
「れんこん?」
「又次郎はんはまだ食べたことがおまへんやろなあ…」



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Monologue of Taiga

 We first visited the memorial hall of the founder of this temple, Ingen Zenji(Zen master). Many pots of lotus greeted us. Master Ichii said,
" They are not only the symbol of Buddhism but also the flower associated with Ingen Zenji, who taught us Japanese that the lotus root is edible."
" The lotus root? "
" You should not have yet eaten it. "


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 境内を縦横に結ぶ回廊を進むと、カン、カンという乾いた音に迎えられた。墨染の衣をまとった僧が木の棒を握り、大きな木の魚を叩いている。
「急ぎまひょ、食事の時間を知らせてはる」

 Walking on the cloisters, dry sounds sounded. A priest in black is beating a big wooden gong in the shape of fish.
" Hurry up, he is announcing the mealtime! "




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 私たちは、木の魚を左に眺めながら食堂(じきどう)への石段を登った。(現在、普茶料理を頂くのは、食堂の左奥の新築の建物内です)
 食堂は畳にお膳ではなく、卓子に椅子であった。箱膳が二つ置かれている。
「本来は四人で親しく食卓を囲んで、大皿から料理を取り分けます」
 食前に私たちは「五観の偈(げ)」を読み上げた。
「食事も修行の一つどす。食物が供されるまでの人々の恩に感謝し、自らを省み、体を養う薬として節度をもって頂きまひょう」
 そして、蓋が開けられた。

 

「五観の偈」(右)と「菜単(おしながき)」(左)

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 In the dining hall, a table and chairs were prepared for us. Master Ichii explained me.
" In general, four persons surround a table and share one dish friedly. "
 Before the meal, we read out five verses.
" The meal also is a training. We should give thanks to the people and reflect ourselves. We must eat them temperately as the medicine."



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「ほれ、隠元禅師が中国から伝えた普茶料理どす。これを振舞ったり、召し上がったりしながら、隠元禅師は遠いふるさとの黄檗山をなつかしんだんやろなあ。この辺の山の佇まいは、中国の黄檗山に似てるそうどす」

「Ingen zen」の画像検索結果
隠元禅師*Ingen Zenji (wikipedia)


「隠元禅師は、隠元豆や蓮根をやまとへ伝えました。せやから、普茶料理から隠元豆の胡麻和えは外せまへん。蓮根はどこに入ってるかしらん」
 私は葛かけを一口食べて、思わず顔をしかめた
「この葛かけは、不思議な香りがします。風邪引いたとき、お母はんのこさえてくれる葛湯みたいにとろっとしてるけど、香ばしいような油臭いような…」
「胡麻油どすな」

" Ingen Zenji introduced this vegitarian diet including Ingen(kidney beans), lotus root, etc. The sesame and sesame oil are used in these bean curds and this kudzu sauce. "


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「それに、これは何でしょう。さっくりした歯触りで、それでいて糸を引くような粘りのある野菜は…」
「ああ、それが蓮根どす」
「あの美しい蓮の花が散った後に、この蓮根が採れるのですね」
「滋養がありますえ。普茶料理は生臭もんを使わんでも、栄養がしっかり摂れるようによう考えられてますよって」
「魚はよろしいのですか。この蒲鉾(かまぼこ)は…」
「ほほ。それは蒲鉾もどきいいますねん。食べてみなはれ」
「あっ、長芋や!」
「お豆腐も変わってますえ。そっちは胡麻豆腐、こっちの四角い小さいんは味噌漬け豆富…中国には古くから、蘇(そ:古代のチーズ)いう珍味があるそうやけど、こんな感じやろか」

Matajiro was surprised the lotus root was edible after the flower had fallen. The pseudo-steamed fish paste was made of Chinese yam!


The mouthfeel of the lotus root, crispy and a little sticky was rediscovered by snowdrop at China town in London while her four-month-long journey far from Japanese cuisine.


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ももさへづりと桃つながり?*Do you find peach-design? (Chinese auspicious fruit)


けれども、大雅少年は”萬福”寺へ”満腹”になるために来たのではありませんでした。実は、食事よりも大事なご用があったのです。それはまた「ももさへづり*やまと編」で…

In fact, Taiga was invited to this temple not for the meal but for an important matter. (To be continued to the blog by snowdrop-nara, in July)



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雨あがり七宝焼きの香炉よりのぼる煙も異国のかをり
après la pluie

d’ un brûle-parfum d’ émail

la fumée monte

qui sent exotique,

le parfum de Chine


おまけ 🐈 BONUS 🐈 two kinds of fortune slip (Danno-Horin-ji and Manpuku-ji )

猫みくじ付 招福飴大雅といただく普茶料理 * Buddhist cuisine in Chinese style_f0374041_16320874.jpg









猫みくじ
(檀王法林寺HP)
 
達磨みくじ
(萬福寺で撮影)


(All Rights Reserved)

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Commented at 2018-06-18 21:41
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by snowdrop-uta at 2018-06-20 05:54
*18日の鍵コメさま、お気遣いありがとうございます。^^ /~
Commented by hillfigure at 2018-06-21 00:36
こんばんは〜!

可愛らしい主菓子を頂きつつ、卍崩しの勾欄がなんてヵック(○゚▽゚)ィィ!
水桶にハスの花が並ぶ境内も素敵ですね〜♪
1鉢だけでもこんな風にしてお庭にハスを置くのも良いかもって参考になりました!
「自らを省み、体を養う薬として節度をもって頂きまひょう」
 何気に↑↑これが難しいですよね〜(´-ω-`;)ゞポリポリ
檀王法林寺の黒招き猫伝説?、隠元禅師、かいぱん、じきどうという読み方、普茶料理、五観の偈(げ)
そして菜単(おしながき)などなどいろいろと興味深かったです☆゚
猫みくじ付招福飴もまたなかなか興味深い(買うてみたいにゃ〜)(人>∀<)
普茶料理なるめずらしいお食事をご馳走さまでした(๑´ڡ`๑)♪

ps.地震の被害が無くて良かったですね!!
Commented by snowdrop-uta at 2018-06-21 21:02
*cocoaさん
この中国風のお寺、イカスでしょう?
蓮のある暮らし、素敵でしょうね。
高校時代の美術の先生は蓮の日本画を描くのが好きで
お庭にも蓮の鉢を幾つか置いていました。
夏には蓮の葉で蓮酒を頂くのですって!
バラの季節に訪ねたので、ご相伴することはできませんでしたが…
檀王法林寺、まだ行ったことはないのですが、面白そうです。
食堂と書いてじきどうと読むのは、日本のお寺と同じなのですが
精進料理はかなり違いました。
蓮根の描写には、むかしロンドンの中華街で久々の東洋食にありついたとき
「この不思議なる美味は何?あっ!蓮根や!」と感じた時の印象が反映しています。
snowdropは食が細いので、お薬と思ってもっと食べないといけません!
ps.お気遣いありがとうございます♡
Commented at 2018-06-23 22:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2018-07-30 21:28
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by snowdrop-uta at 2018-07-31 07:11
*7月30日の鍵コメさん
おだやかで充実した日々を過ごしておられると信じていました。^^
戻って来られたのなら、とっても嬉しいです。
たまたまイラストの記事が続いているんです。ここでも、姉妹ブログでも。
萬福寺やイラストが結び直してくれたご縁なら、嬉しいです。

by snowdrop-uta | 2018-06-18 20:45 | 四季の食卓(table) | Comments(7)

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